小学生の患者さんが相談に来ました。学校で歯のことをからかわれたそうです。上の前歯が不ぞろいで本人も気にしていたようです。本人は治すことに積極的です。この年齢の子どもが積極的に歯並びを治したいというのはよほどのことでしょう(一般的には嫌がるお子さんがほとんどなんですが)。
小学校の時期はご存知のように永久歯と乳歯がいりまざっている混合歯列期という時期に当たります。乳歯が抜けて永久歯が生えてきますので前歯などの重なりやねじれ、また八重歯のような症状が徐々に現れたり、数ヶ月単位で口元の変化に気づきもします。このような時期に友達やクラスの仲間から、意識のない「からかい」のような言葉が発せられると、子どもによってはかなり傷つくこともあるようです。昔親から「顔形や体についてからかうようなことは絶対にいってはいけないよ」といわれたことを思い出します。時代は変わったのでしょう(他人を傷つけてはいけない、という人間の道徳的なことは変るわけないのですが)?子供同士の会話の残酷さを感じます。
さて来られたお子さんにまず「必ず治るから大丈夫」と安心感を持ってもらうことにしました。本来「絶対、必ず、100%」などの言葉は使いたくないのですが自信を持ってもらい安心してもらうためには必要な言葉です。本人のホットしたような顔をみてこちらもホット。現在は前歯がきれいに並びなんとなく楽しい通院のようでもあります。引き続き永久歯での治療も考えているとのことです。
何気ない「ひとこと」・・・大人でも気をつけたいものです。