大学在籍中、ドイツ人学校の生徒さんの治療を任されました。上顎前突で咬みあわせが深く咬むと下の前歯が上の前歯で覆われ見えません。かなりの「出っ歯」の症状です。日本でいう小学校の4年生、治療計画としては上顎骨の成長発育の抑制(前の方の発育する力を抑えるという意味)下顎骨は前方に成長するように促進、という計画で装置の選択装着を行いました。過度の上顎前突のため治療はかなり難しく場合によっては永久歯の抜歯をも含む治療計画となりました。・・・ところがところが患者さんの思春期性の活発な成長期になると、あれよあれよと下顎骨の前方成長が出現し1年近くで上顎前突は消失し上下の顎の成長のバランスは良好に、また過度に深い咬み合わせも改善、これってなぜ?という気持ちでした。その後数多くのドイツの方の矯正治療をしましたが成長期の患者さんの反応のよいこと、また歯の形も私たちアジア人種と異なり薄くて長方形のモデルさんのような状態で治療後の咬み合わせもすこぶる良好という状況でした。この間日本人で同じような症状、年齢、同種の装置を使用した患者さん、ある方は抜歯が必要になったりもして、両者を比べても明らかに反応系のよいのは白人の方々でした。論文にも類似したことが示唆されていますが目の辺りにしてびっくりというのが感想です。
これらのことから人種による反応系の差があるのは明確な事実と考えられます。先生によっては海外で研修を受け帰国後、日本人を相手に自信たっぷりに矯正治療を行ってもうまくいかないことがある事実はこれらのこととも関連性があるように思えます。矯正治療は難しいものです。どこでかっこよく勉強してきたといってもやはり経験とそれに裏付けられる実績の多さにはかないませんかな?。
白人の方々を主に矯正治療してきたと豪語する先生方、また海外からの治療システムを妄信的に信じてしまう先生方はちょっと立ち止まって熟考の余地ありというところですか?・・・自分自身も?