テレビやメデイアに登場する「神の手」とは?報道を拝見させて頂くと本当にすごい方々がいるなあ、というのが感想です。長年の研修研鑽とそれぞれの先生が本質的に持っている能力が合致しての結果かな?と思います。年齢を考えても50~60代と少なくとも実績の証明を含め数十年の結果が必要であったのであろうとの思いです。
さて矯正治療に関する「神の手」の存在は?と考えるとこれもなかなか難しい(そのような言葉に該当する先生方の人数や何を証拠にそのようにいうか?などという意味で)。というのも日本における歯科矯正治療の歴史を考えてみると、スタンダード・エッジワイズ法やベッグ法、ライトワイヤー・エッジワイズ法などが昭和30年~40年代にかけて輸入され、それらの技術を日本的な器用さで加工し、またその後T医科歯科大学M名誉教授(教授にお断りしておりませんのでイニシャルですみません恩師です)による世界的な治療法としてのダイレクト・ボンデイング・システム(従来の歯に金属の環を被せるちょっとグロテスクな矯正装置でなく、歯の表の面のみに接着剤で装置を装着するようにした方法、これにより装置は目立たなくなった。歯の裏側につけて表から見えない矯正方法などもこの応用系といえる)が開発された結果、今日的な矯正治療が存在すると考えられるからです。いいたいのはこの開発経過を考えると「歯科矯正治療」はここ30年ぐらいの間で確立した治療方法とも考えられます。したがってもし「神の手」が存在するとしても時間的、年齢的にもそう多くの人は存在しにくいということです。私の個人的に勝手に尊敬する治療歴が40年近くの先生方で数人程度です(あくまでも個人的な意見です)。先生方の多くはHP上での情報開示もなく淡々と治療を行っているようです。これで極めたということはなく生涯現役という立場をとっています。この臨床的な時間差は追いつきにくいものです。
医科のことは知りませんが、歯科矯正治療に関しては「神の手」ということよりは「匠の手」に近くづことの方が重要かなとも思えますが?どうでしょう。