矯正治療専門医であることを社会に認識してもらうための目標として日本矯正歯科学会認定の「認定医試験」というものがあります。卒業後5年間の研修が課せられ症例に対する診断能力、治療経過や結果を試験してもらう制度がそれです。毎年100名程度?(具体的な数値ではありませんが)の専門医が誕生しています。しかし、この制度は実施されてから既に長い経過がありますので全ての認定医が「認定医であること=同じ実績や評価を持つ」という図式にはなりません。卒業後5年経過で試験を受け合格した認定医は歯科矯正専門医としてのスタートラインに立ったとい立場(これからの先生方)であるということの方が適切な解釈と思われます。いうまでもなく他の職種と同様、私たちの仕事には「経験」というキーワードが存在するからです。先生を選ぶ指標として「認定医」のある・なしはone of 幾つかの因子ということです。認定医の批判をしているわけではありません。そもそも認定医というものには「そのような現状」があるということです。
このような文を書いていますと、歯科矯正学を研修しはじめのころ(30数年前ですが)ある患者さんから「すみません、先生でなくもっと上の先生にお願いしたいので担当医の変更をお願いします」と言われたことを思い出します。その時の私の意識は「なぜ変更?」ではなく、思わず「患者のAさん、あなたの申し出は適切」。